〈解説〉コイン投げと二項分布

コインを2枚投げたとき

コイン投げのシミュレーションです。コインを2回投げると、2回とも表、表と裏が1回ずつ、2回とも裏の3通りの結果が予想されます。コインに偏りがなく、表の出る確率(=成功確率)が0.5のとき、上述の確率はそれぞれ、0.25、0.5、0.25となります。

ベルヌーイ試行

2種類の結果のうち一方が\(p\)の確率で生じるような試行をベルヌーイ試行といいます。コインを1枚投げること(表が出る確率は0.5)は、ベルヌーイ試行の一例です。(2種類の結果のうち注目している結果が生じることを「成功」、その確率を成功確率と表記します。)

二項分布

成功確率が\(p\)であるベルヌーイ試行を\(n\)回行ったとき、\(x\)回成功する確率、すなわち\(P(x)\)は次の式で表されます。
\[ P(x) = {}_nC_x \ p^x (1-p)^{(n-x)} \quad (x=1,...,n)\]
成功回数を表す確率変数\(X\)は、成功確率\(p\)、試行回数\(n\)の二項分布にしたがいます。期待値は、\( E[X] = np \)、分散は\( V[X] = np(1-p) \)です。

正規分布との関係

二項分布どうしの和は二項分布になる性質があります(再生性)。試行回数を無限に大きくすると、二項分布は正規分布に近づきます。

〈使用方法〉コインの枚数や成功確率を変えてみよう

ここでは、「コインを2回投げる」を「2枚のコインを同時に投げる」という試行に読み替えていることに注意してください。成功確率と試行回数(=コインの枚数)、繰り返し回数を指定して、表が出た枚数がどのような分布になっていくかをシミュレートします。

シミュレーション設定

これを1回として、繰り返し回数を500~5000の範囲で指定し、実行をクリックしてください。

シミュレーションでは、成功(表が出た)は、失敗(裏が出た)で表示します。所要時間は、繰り返し回数1000で約35秒です(Windows10, Core i7, Chrome 124 で測定。ご利用の環境に依存します)。

〈学習課題〉成功確率や試行回数と分布形状との関係

  1. 試行回数を1に固定し、成功確率を0.3や0.8などに変えて期待値と分散を計算し、シミュレーション結果と比較しましょう。
  2. 成功確率を固定し、試行回数を5や20などに変えて期待値と分散を計算し、シミュレーション結果と比較しましょう。
  3. 任意の成功確率、試行回数でシミュレーションたローデータを使って、平均値の検定(一変数t検定)をしてみましょう。
  4. 試行回数を10以上、繰り返し回数を3000以上に設定し、成功回数の分布が正規分布で近似できることを確かめましょう。

設定と実行

成功確率\((p)=\) 試行回数\((n)=\) 繰り返し回数