〈解説〉確率変数を足すということ

確率変数

確率変数とは、ランダムに値が決まる変数のことです。ただし、値の決まり方に確率的な法則があると仮定されています。この法則のことを確率分布といいます。確率分布には、正規分布、カイ二乗分布などがあります。

確率変数を「足す」

確率変数は、どんな値をとるかが定まっていない、常に「ゆらいでいる」ものですから、それを「足す」というのはイメージしにくいでしょう。そこで、乱数を使って、実現値の世界で考えます。確率変数\(X\)の1つの実現値(\(x_1\))と、確率変数\(Y\)の1つの実現値(\(y_1\))を足したもの(\(x_1+y_1=z_1\))を、確率変数\(Z=X+Y\)の実現値と考えます。このようにして実現値を大量に発生させ、\(Z\)がどのような分布になるかを確かめることにします。\(X,Y\)がともに正(負)のとき、\(Z\)は常にそれらより大きい(小さい)値をとります。このことから、\(Z\)の分散が\(X,Y\)の分散より大きくなると予想されます。

また、\(X,Y\)の平均(\(\frac12(x_1+y_1)=z_1\))を\(Z\)の実現値としたとき、\(Z\)はかならず\(X,Y\)の中間の位置にプロットされます。このことから、\(Z\)の分散が\(X,Y\)の分散より小さくなると予想されます。

〈使用方法〉

確率分布

\(X\)と\(Y\)の確率分布を選んでください。正規分布を選ぶと、平均値と標準偏差を指定できます。初期値は平均値0、標準偏差1の標準正規分布です。カイ二乗分布を選ぶと、自由度を指定できます。初期値は自由度1です。

合計あるいは平均

2つの確率変数の合計を考えるのか、平均を考えるのかを選択します。どちらかを選択すると、乱数を生成するボタンが押せるようになります。

乱数の生成

\(X\)と\(Y\)の実現値を1つ、乱数で生成します。その和あるいは平均を\(Z\)の実現値とします。乱数を1つ生成をクリックするごとに、1組の乱数を生成します。実現値の世界で、\(X\)と\(Y\)の和あるいは平均の値を確かめてください(丸め誤差が含まれることに注意してください)。シミュレーションのしくみを理解したら、繰り返し回数を指定して乱数を連続生成してくだい。

所要時間は、繰り返し回数1000で約70秒です(Windows10, Core i7, Chrome 124 で測定。ご利用の環境に依存します)。

〈学習課題〉確率変数の和と平均

  1. \(X\)と\(Y\)の平均値、標準偏差を使って、その和あるいは平均である\(Z\)の平均値と標準偏差を計算してみましょう。シミュレーションで生成されたローデータを使って、計算通りになっているか確かめましょう。(多くの教科書では、確率変数の和あるいは平均の「分散」の計算方法が記載されています。これに対して、本サイトで提供している情報は「標準偏差」であることに注意してください。)
  2. このシミュレーションでは、2つの確率変数の和と平均しか計算できません。3つの場合はどうなるでしょうか。4つではどうでしょうか。Rでシミュレーションしてみましょう。

設定と実行

確率分布 平均\(\mu\)= 標準偏差\(\sigma\)= 自由度df=
この分布にしたがう確率変数2個の

横軸表示範囲:最小値 最大値(範囲を十分に広くとってください) 

 または  繰り返し回数